CERAMIC ART ACCESSORY 千花
新作展
『 LUCE ~滲む光~ 』
10/25 THU ~ 11/4 SUN
メガネを外して見えた花火は、
美しく滲んで見えた。
自分の身体に『ありがとう』と言えた。

人それぞれに違う思考を持ち、
人それぞれが理解しあう。
ちかさんが見て感じた花火と、
私が見て感じる花火は、
あたりまえだけど、
何もかもが違う。

ちかさんのメガネを外した視界に広がる
滲んだ光を放つ花火は、
どれほど幻想的だっただろう。
私の見えてる花火の描く軌道や、
花火が散った後の煙、
私が見る花火の細やかな部分は、
きっと気持ちで感じ取ったんだろう。

きっと、ちかさんは、
夢中になって滲んだ花火を眺めたに違いない。
ファンタスティックに滲む光を、
どれだけの人に見て欲しくなったんだろう。
せめて、色だけでも。
せめて、輝く時間だけでも。
勢いだけでも。
どれだけの人に、
伝えたくなったんだろう。

偶然、とある新聞に、
ヴァイオリニストの前橋汀子さんの
記事を見つけた。
ちかさんの作品の中に、
前橋汀子さんの曲からインスピレーションを受けて
作られたシリーズがある。
前橋さんは高校中退して、
ソ連にヴァイオリン留学をしている。
その時、『決して、人と自分を比べるもんじゃないよ。』と、
恩師から言葉をいただいたそうだ。

人は、比べる。
なんでも、比べる。
比べてもどうしようもないのに、
比べてしまう。
自ら、コンプレックスを作り上げている。
こういうの、止めてみるほうがいいみたいだ。
こんなにきれいな世界が見えるんだから。

ちかさんは、滲んだ光を花火に見たけど、
私は花火を見るとき、
・・・実は、あんまり花火を見てない。
私が花火の何を楽しみにして、
何が好きかというと、
『音』だ。
どどんと伝わる壮絶な空気音。
地響きも感じるほどの空気音。
なので、花火を見るというよりは、
花火を『聞いてる』と言っていい。
夜空に打ちあがる花火を前に、
目を閉じて聞いてるから。

私にとって、
花火は、聞くもの。
いつの間に?なぜそうなったかはわからないが、
おそらく比べてしまうことが嫌になったんだろう。
どこの花火よりきれいだとか、
小さいより大輪のほうがいいとか、
色はシンプルなほうがいいとか、
何発打ち上げくらいがいいとか、
まあ、自分の記憶の中のことだけど、
比べても仕方のないことを
無意識にいろいろ比べるのが、いや。
目を閉じて聞く花火は、
とっても心に響くものがある。
ちかさんの花火も、
私の花火も、
比べようのない美しい花火。
みなさんの花火も、きっと、そう。
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